豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
真紘side
ホテルの最上階に位置する創作フレンチレストランの個室からは、キラキラとネオン輝く街並みが見える。眼下に見えるネオン街のどこかに鈴香がいると思うだけで胸が切ないほどに高鳴る。
さっさと、面倒事を終わらせて鈴香を迎えに行きたい。しかし、焦りは禁物だ。
目の前でカトラリーを操り上品に食事を口に運ぶ女の狡猾さは嫌というほど知っている。
鈴香との未来のためにも失敗することは許されない。
「どうしたの? 真紘。好みじゃなかったかしら?」
「いいえ、そんなことありませんよ。美沙江とこうしてデート出来るなんて夢にも思わなかったのでね。柄にもなく神に感謝していたんです」
復讐する機会を与えてくれた神にね。
真っ白な皿に盛られたテリーヌを真っ二つにナイフで切り口に運ぶ。ほんのりと口に広がった酸味が、昂った心をわずかにほぐしてくれるような気がして口元に笑みが浮かぶ。
美沙江からの誘いにのったのは、ある資料を手に入れるのが目的だった。
入江物産の田ノ上部長、強引なやり口で今の地位を得た男だ。しかし、敵も多いからこそ弱味を見せない狡猾な男でもある。美沙江が、田ノ上部長を伴い営業部へとやって来た時から、何か仕掛けてくるとは思っていた。でも、周りを巻き込まなければ静観するつもりだった。しかし、彼女は鈴香を陥れようと策を図ったのだ。それも、最悪な方法で。
鈴香の元彼に情報を流し奴の嫉妬心を利用して、鈴香を精神的に追い込んだ。自分の手は汚さず、蹴落としたい相手を陥れる。実に、美沙江らしい手口に、呆れを通り越して感心すらしてしまった。
汚いやり口には、汚いやり口で。
美沙江を油断させるため、彼女の誘いにのる振りをしつつ、裏で慎重に計画を実行に移していった。
美沙江と別れてから集め出した情報が、やっと実を結ぶときが来た。それも最高な形で。
美沙江の悔しがる姿を想像するだけで、笑いが込み上げそうになる。鈴香との未来のためにも、この女には、俺の人生の中から退場してもらう。
さっさと、面倒事を終わらせて鈴香を迎えに行きたい。しかし、焦りは禁物だ。
目の前でカトラリーを操り上品に食事を口に運ぶ女の狡猾さは嫌というほど知っている。
鈴香との未来のためにも失敗することは許されない。
「どうしたの? 真紘。好みじゃなかったかしら?」
「いいえ、そんなことありませんよ。美沙江とこうしてデート出来るなんて夢にも思わなかったのでね。柄にもなく神に感謝していたんです」
復讐する機会を与えてくれた神にね。
真っ白な皿に盛られたテリーヌを真っ二つにナイフで切り口に運ぶ。ほんのりと口に広がった酸味が、昂った心をわずかにほぐしてくれるような気がして口元に笑みが浮かぶ。
美沙江からの誘いにのったのは、ある資料を手に入れるのが目的だった。
入江物産の田ノ上部長、強引なやり口で今の地位を得た男だ。しかし、敵も多いからこそ弱味を見せない狡猾な男でもある。美沙江が、田ノ上部長を伴い営業部へとやって来た時から、何か仕掛けてくるとは思っていた。でも、周りを巻き込まなければ静観するつもりだった。しかし、彼女は鈴香を陥れようと策を図ったのだ。それも、最悪な方法で。
鈴香の元彼に情報を流し奴の嫉妬心を利用して、鈴香を精神的に追い込んだ。自分の手は汚さず、蹴落としたい相手を陥れる。実に、美沙江らしい手口に、呆れを通り越して感心すらしてしまった。
汚いやり口には、汚いやり口で。
美沙江を油断させるため、彼女の誘いにのる振りをしつつ、裏で慎重に計画を実行に移していった。
美沙江と別れてから集め出した情報が、やっと実を結ぶときが来た。それも最高な形で。
美沙江の悔しがる姿を想像するだけで、笑いが込み上げそうになる。鈴香との未来のためにも、この女には、俺の人生の中から退場してもらう。