大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
「沖形君でも、着信拒否されることがあるんですね。不謹慎を承知で言うと、それは見ものです」
漏れ出たひとり言に返答され、朋也はぎょっとしてふり返る。先ほどのフライトで同乗した名取機長だった。
仕事では頼りになる上司だが、愉しそうにされると気に食わない。
「あまりドライな対応をすると、相手の機嫌を損ねますよ」
「人聞きの悪い。むしろ俺のほうが、見事にしてやられていますよ」
「女性ですか?」
「嬉しそうに言わないでください。……女ですが、なにか」
声に不機嫌が乗る。名取が驚きをあらわにしたかと思うと、噴き出した。
「いやいや、すみません。冗談のつもりだったんですが、まさか沖形君が女性関係で途方に暮れるとは……ああ、違いますね。その顔は焦っているんですね」
「は……?」
虚を突かれて機長を見返すと、なだめるかのように肩を叩かれた。
「おや、自分の状態をかえりみる余裕もないとは……それほどの執着を向ける相手なんですね」
朋也は唖然とした。
(俺がなにかに執着するなんてことがあるのか……?)
朋也にはこれまで一度も、そのような経験がない。
だから考えてもみなかった。
漏れ出たひとり言に返答され、朋也はぎょっとしてふり返る。先ほどのフライトで同乗した名取機長だった。
仕事では頼りになる上司だが、愉しそうにされると気に食わない。
「あまりドライな対応をすると、相手の機嫌を損ねますよ」
「人聞きの悪い。むしろ俺のほうが、見事にしてやられていますよ」
「女性ですか?」
「嬉しそうに言わないでください。……女ですが、なにか」
声に不機嫌が乗る。名取が驚きをあらわにしたかと思うと、噴き出した。
「いやいや、すみません。冗談のつもりだったんですが、まさか沖形君が女性関係で途方に暮れるとは……ああ、違いますね。その顔は焦っているんですね」
「は……?」
虚を突かれて機長を見返すと、なだめるかのように肩を叩かれた。
「おや、自分の状態をかえりみる余裕もないとは……それほどの執着を向ける相手なんですね」
朋也は唖然とした。
(俺がなにかに執着するなんてことがあるのか……?)
朋也にはこれまで一度も、そのような経験がない。
だから考えてもみなかった。