大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
美空はその日の夕方、朋也に連れられて病院を受診した。
さらに朋也は夕食に、うどんまで作ってくれた。まさに至れり尽くせりだ。
起き上がれる程度に回復したので、美空はリビングのローテーブルでいただく。
すぐうしろのソファから朋也に見られていると思うと、かすかに緊張した。だがそれも、ひと口食べてからは気にならなくなった。
薄味らしい出汁の色にほっとする。うどんには小さく裂いた鶏ささみと、消化の負担にならないよう細かく刻んだ野菜まで入っていた。
「沖形さんはお料理までできるんですね……驚きました」
「大したものじゃないよ。弟が熱を出しやすかったから、作り慣れてるだけ。まあ、他人に作ったのはこれが初めてだけど」
これが初めて、という響きに胸が小さく疼く。
「優しいお兄さんですね。わたし……沖形さんのことを誤解していました」
「あんな場面を見れば、そう思うのも当然かもね? 美空に注意されるまで、飛行機を降りたクルーをヤブ蚊のようだと思っていたのは否定しない」
「それはやっぱりひどいです。……つまみ食いして捨てるひとよりは、ましですけど」
しつこく迫るCAと、そっけなくあしらう朋也の光景を思い出して無意識に顔が曇る。
「美空もなかなか言うね。そんなのコストも労力もかかるだけ……なんて言ったらまた幻滅されるかな。でも美空に注意されてからは、これでも態度を改めたんだ」
意外な発言に驚いて美空がうしろをふり向くと、朋也の指が伸びてくる。横髪を耳にかけられてぎょっとした。触れられた耳が熱い。
「これ以上、美空に幻滅されたくないから。女性クルーにも、紳士的に接しているつもり」
朋也の涼しげな目元にかすかな熱を感じてしまい、美空は反射的に前を向いた。
「じゃあ、わたしを呼んだ日も……?」
さらに朋也は夕食に、うどんまで作ってくれた。まさに至れり尽くせりだ。
起き上がれる程度に回復したので、美空はリビングのローテーブルでいただく。
すぐうしろのソファから朋也に見られていると思うと、かすかに緊張した。だがそれも、ひと口食べてからは気にならなくなった。
薄味らしい出汁の色にほっとする。うどんには小さく裂いた鶏ささみと、消化の負担にならないよう細かく刻んだ野菜まで入っていた。
「沖形さんはお料理までできるんですね……驚きました」
「大したものじゃないよ。弟が熱を出しやすかったから、作り慣れてるだけ。まあ、他人に作ったのはこれが初めてだけど」
これが初めて、という響きに胸が小さく疼く。
「優しいお兄さんですね。わたし……沖形さんのことを誤解していました」
「あんな場面を見れば、そう思うのも当然かもね? 美空に注意されるまで、飛行機を降りたクルーをヤブ蚊のようだと思っていたのは否定しない」
「それはやっぱりひどいです。……つまみ食いして捨てるひとよりは、ましですけど」
しつこく迫るCAと、そっけなくあしらう朋也の光景を思い出して無意識に顔が曇る。
「美空もなかなか言うね。そんなのコストも労力もかかるだけ……なんて言ったらまた幻滅されるかな。でも美空に注意されてからは、これでも態度を改めたんだ」
意外な発言に驚いて美空がうしろをふり向くと、朋也の指が伸びてくる。横髪を耳にかけられてぎょっとした。触れられた耳が熱い。
「これ以上、美空に幻滅されたくないから。女性クルーにも、紳士的に接しているつもり」
朋也の涼しげな目元にかすかな熱を感じてしまい、美空は反射的に前を向いた。
「じゃあ、わたしを呼んだ日も……?」