もう一度 恋をするなら
「……大人になってたなあ」
当たり前だけれど。そして当然、私も彼の目にそう映ったはずだ。
「おばさんになったとか思われてないといいなー」
仕事柄清潔感は保つようにしているし、ナチュラルメイクだけれどそんなに老けた印象ではない……はずだ。それでも、高校生の頃と比べられたら困る。
なんて、今更彼の目に自分がどう映ったかなんて、気にしても仕方がない。第一、せっかく再会したというのに彼にはすっかり無視されてしまった。何より、私自身「久しぶり」なんて呑気なことも言えなくて、結局初対面のような挨拶を返してしまったんだから人のことは言えないけれど。
「うん、言えないよねえ。今更だし。お互いさまだし」
そう敢えて言葉にして、若干、いや実はかなり落ち込んでいる自分を励ました。
気になっても仕方がないな、と思う。
彼は、私の初恋の人だ。中学の同級生で、マンションの部屋が隣だったから通学をずっと一緒にしていた。高校は別々の学校だったけれど、電車の路線は同じだったから帰り道に彼を見つけると私は必ず彼の背中を追いかけていた。
『弓木くん! 一緒に帰ろうよ!』
かつての自分の声が、頭の中に響いた気がした。