もう一度 恋をするなら
夕方からのパーティだったので、店の外はもうすっかり暗くなっていた。石畳の広場が広がっていて、オレンジ色の街頭の下をパーティ参加者が駅の方角へと歩いていく。
私と弓木くんもなんとなくその方角を目指していて、私は駅に着いたらどうしたらいいか悩んでいた。駅に近づくにつれて、カフェや居酒屋などの飲食店が立ち並ぶ。
「今井さん」
「えっ?」
「時間ある? 少し話せないか」
自分が彼を引き留める方法ばかり考えていた私は、弓木くんの方から話しかけてくれて驚いていた。一瞬返事が遅れた私に、彼は重ねて言い募る。
「話したい。今が無理なら他の日でもいいから、時間がほしい」
強い視線を向けられて、こくんと小さく頷く。
ずっと避けられているような気がしていたのに、どうして急に?
戸惑いはあるけれど、話したいと思っていたのは私も同じで、だから迷うことは一瞬もなかった。
「私も、話したいと思ってた、ずっと」
ほっとしたように彼の表情が綻ぶ。胸がぎゅっと苦しくなったのは、思い出の中の、高校生の頃の彼が重なったからかもしれない。少し気の緩んだ彼は、昔のように優しい表情をしていた。