もう一度 恋をするなら
「なんだ、それもお互い様なの? 迷惑ってどんな?」
「いや。それは、俺の……気のせいだった」
少し言葉を濁した彼が気になって、視線で問いかける。彼は私と目が合うと「なんでもない」と少し笑って首を振った。
それにしても、雪ちゃんと話していた通りだった。答え合わせをしたら拍子抜けするくらいで、おかしくなって私も微笑む。こうして話すと、職場で見る彼が嘘みたいだ。
「こうして話せてよかった、弓木くん変わってない」
今の彼は大人の男性だけれど、見せてくれている穏やかな優しい表情は昔のままだ。
「今井さんも変わってない。……ああ、でも、そうでもないかな」
「え、私変わった?」
「変わったところと、昔のままのところと。ほら、前に研修医と揉めてた時。高校生の頃は揉め事になるとおどおどして俺が助けなきゃって思ってたのに、大人になった今井さんは毅然としててかっこよかった」
「あ……あれ? そうかな」
そんな風に言われるとは思わなくて、嬉しくて頬が熱くなる。
「じゃあ、変わってないところは?」
「今日見た。友達の幸せを喜んで大泣きしてた。そういうとこは変わらないなあって」
「えっ? そんな泣いたことあった? 昔も?」
「泣いたっていうより、友達のことで真剣に一喜一憂できたりするとこ。あの頃も、俺の話とか真剣に聞いてくれてた。そういうところがすきだった」
懐かしむような顔で、最後の方は無意識に彼はつぶやいてしまったらしい。
「え」
「あ」
弓木くんが、ぱっと自分の口を大きな手で覆う。私はぱちぱちと瞬きを繰り返し、それからじわじわと頬を熱くした。
「えっと……ありがとう。褒めすぎだけど」
「んん、まあ、そういう気持ちだったってこと」
え、それは、結局どういう?
過去の気持ち限定なのか、今はどうなのか、そもそも恋愛的なすきなのか?
ロールカーテンの隙間から、店内のざわめきが伝わってくる。そんな中、三十歳がすぐそこのいい大人の男女がふたり、真っ赤な顔で何杯目かのソフトドリンクを飲み干した。
「いや。それは、俺の……気のせいだった」
少し言葉を濁した彼が気になって、視線で問いかける。彼は私と目が合うと「なんでもない」と少し笑って首を振った。
それにしても、雪ちゃんと話していた通りだった。答え合わせをしたら拍子抜けするくらいで、おかしくなって私も微笑む。こうして話すと、職場で見る彼が嘘みたいだ。
「こうして話せてよかった、弓木くん変わってない」
今の彼は大人の男性だけれど、見せてくれている穏やかな優しい表情は昔のままだ。
「今井さんも変わってない。……ああ、でも、そうでもないかな」
「え、私変わった?」
「変わったところと、昔のままのところと。ほら、前に研修医と揉めてた時。高校生の頃は揉め事になるとおどおどして俺が助けなきゃって思ってたのに、大人になった今井さんは毅然としててかっこよかった」
「あ……あれ? そうかな」
そんな風に言われるとは思わなくて、嬉しくて頬が熱くなる。
「じゃあ、変わってないところは?」
「今日見た。友達の幸せを喜んで大泣きしてた。そういうとこは変わらないなあって」
「えっ? そんな泣いたことあった? 昔も?」
「泣いたっていうより、友達のことで真剣に一喜一憂できたりするとこ。あの頃も、俺の話とか真剣に聞いてくれてた。そういうところがすきだった」
懐かしむような顔で、最後の方は無意識に彼はつぶやいてしまったらしい。
「え」
「あ」
弓木くんが、ぱっと自分の口を大きな手で覆う。私はぱちぱちと瞬きを繰り返し、それからじわじわと頬を熱くした。
「えっと……ありがとう。褒めすぎだけど」
「んん、まあ、そういう気持ちだったってこと」
え、それは、結局どういう?
過去の気持ち限定なのか、今はどうなのか、そもそも恋愛的なすきなのか?
ロールカーテンの隙間から、店内のざわめきが伝わってくる。そんな中、三十歳がすぐそこのいい大人の男女がふたり、真っ赤な顔で何杯目かのソフトドリンクを飲み干した。