[慶智の王子・西園寺京の物語]ラブストーリーは一夜の過ちから始まる〜アラフォー男と三十路女の拗らせ恋愛〜
俺と悠士、そして雅、仁、大和、涼介、彰人――計七人。

自然と、上の二人と下の五人で行動を分けていたが、誰か一人に何かあれば、残り六人が支えに回る。

それが、俺たちの絆だった。



だが、そのバランスが崩れたのは、悠士が何も相談せず、独断で動いた『あの出来事』からだ。大家族の家訓である『抑強扶弱・助け合い』の精神に、彼の行動は反していた。

だからこそ、俺は余計に腹が立った。

勝手に動いたことよりも、俺たちを『頼る選択肢』から外したことが、許せなかった。

「なあ兄ちゃん。今度は、俺たちが兄ちゃんを支える番だよ」



雅の言葉に、昔の記憶が甦る。
甘党を笑われた雅。
うさぎの人形が好きで、いじめられた大和。

そんな弟たちを、俺たちは何度も守ってきた。

逆に、仁と涼介は女関係でトラブルが絶えず、喧嘩に巻き込まれるたび、俺たちが加勢した。

幼い頃から全員で合気道を習い、『王子様の裏に武闘派の顔を持つ』――そんな噂まで立つようになった。

「悠士が出した答え、正直ショックだった。
すぐ戻ると思ってたからさ。見放されたみたいで辛かった。でも、支えるのが俺たちの役目だよな。仲間だから」

青臭い。けれど、それが本音だった。涼介と雅が、何も言わずにうなずく。



――その瞬間だった。

ピンポーン、
ピンポーン、
ピンポーンッ!

玄関のベルが乱打され、空気が破られる。

「誰だよ、こんな時間に」

雅が玄関へ向かい、涼介が二本目のミネラルウォーターを取り出す。

「俺はさ、離れてても七人は繋がってると思ってる。悠士兄ちゃんも含めてさ」

隣に座った涼介の言葉が、胸の奥に引っかかった。



俺たちはずっと一緒だと思っていた。
学生の頃も、独身の頃も、変わらない関係でいられると信じていた。

だが現実は、少しずつ変わっていく。
皆、家庭を持ち、それぞれの道を歩き出している。

それでも、こうして支えてくれる存在がいることが、ただありがたかった。

誰かに支えられることを、俺はどこかで拒んでいた。支える側でいる方が、ずっと楽だった。弱さを見せずに済むし、決断を誰かに委ねなくていい。

それは責任感というより、逃げだったのかもしれない。大黒柱でいようとしたのは、結局、一番変化を恐れていた俺自身だったのかもしれない。

「……そうだな。涼介の言うとおりだ」

呟きながら、差し出されたボトルをそっとテーブルに置いた。
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