私のお姉ちゃん
翌朝。

自宅の玄関が開き、初姫が帰って来た。
両手には、沢山の袋がぶら下がっている。

「ん?靴がたくさんある……
誰か来てるのかな?」

首を傾げながら、リビングに向かった初姫。
ドアを開けると、朱雨や夏姫、暁也はもちろん、平祐やダイト、リツエもいて、六人ともぐっすり眠っていた。

テーブルには、酒の空瓶や空き缶などが散らばっていて、酒と煙草の臭いが充満していた。

初姫はクスクスと笑い、六人を見渡す。

そして………

ある一点を見て、微笑んでいた初姫の表情が冷たく固まり、持っていた袋がバサバサ……と音を立てて落ちた。

その音に、暁也が目を覚ます。
「………あ…初姫、おかえり…!
…………連絡してくれれば、迎えに………ん?初姫、どうした?」

初姫の視線の先には、朱雨と夏姫がいた。

そして暁也もそちらに視線を向ける。
それで気づく。

「……っ…」

朱雨と夏姫は肩を寄せ合い、夏姫が朱雨の肩に、朱雨は夏姫の頭に頭を乗せて眠っていたのだ。

暁也はそれを切なく見つめ、初姫を落ち着かせるように言った。
「昨日は久しぶりだったから、酔っ払っちゃってね…(笑)
みんな、いつの間にか寝てたんだ…」

初姫の目から、涙が溢れている。

「初姫、落ち着いて?
待ってね。夏姫と朱雨を起こすから!」

「良いんです…」

「え?でも…」

「私は大丈夫ですから…」

「初姫…」

「私、お部屋に行って寝ますね。
旅行、疲れちゃって…」

「ちょっと待って、初姫!」

階段へ向かおうとする初姫を慌てて止める、暁也。

「ほっといて!!!」
初姫の荒らげる声が、リビングに響く。

暁也は初めてだった。
こんな傷つき、苦しそうな初姫の表情を見るのは。

そしてその初姫の声に、朱雨達が目を覚ました。

「………ん…え……なんで!朱雨がここいんの!?」

「は?
それ、こっちの……ん?あ、ハツ!!
おかえり…!」

「ハツ!!
早かったのね!
おかえり!」

「初姫ちゃん、おかえり〜」

朱雨と夏姫が嬉しそうに駆け寄ろうとし、平祐達も声を揃えて言う。

すると………

「もっとゆっくり帰ってきた方がよかった?」

初姫の刺さるような冷たい声が、リビングに響き渡った。


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