白い結婚なんて絶対に認めません! ~政略で嫁いだ王女は甘い夜を過ごしたい~【全年齢版】
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「遅くまでお疲れ様でした、アルバート様」
「ただいま戻りました、リジィ」
夜、遅めの時間に戻って湯浴みを済ませたアルバートをベッドの上で出迎えると、唇にそっと彼のそれが押し当てられる。
あの後、お互いに気持ちはとても盛り上がっていた。
けれどアルバートは職務を抜け出して来ており、まだ今日の分は山ほど残っているという。それに明日から一週間の公休を取る為に頑張って来る、という話になった。
エリザベスに声をかけられた後にやって来たのは偶然で、プリムローズと話がしたくて確実に会えるであろう王妃のお茶会帰りに捕まえようとしただけらしい。
「今夜は寝かせてあげられないと思います。心配ならお昼寝をしておいて下さい」
見送る時、耳元で囁かれて真っ赤になった。
本で見たことがある言葉だ。
初めての夜、もしかしたら言われるかもしれないと一人で期待していた。結果は一年だけの白い結婚と言われてしまったわけだけれど、あの時のことを思うと夢みたいだ。そうするとアルバートもやっぱり獣になってしまうのだろうか。
「――そうですね。私も獣になると思います」
「アルバート様も……!」
やっぱり、本に書いてあったことは事実だったのだ。
こんなに穏やかで優しいアルバートでさえ獣になってしまうだなんて、閨事とはそんなにもすごいものなのか。
ドキドキしていると、さっと掃くように唇に柔らかなものが触れた。
「いってきます、リジィ。いい子で待っていて下さい」
「い、いってらっしゃいませ、アルバート様」
すごい。
今のも本で見た。
額や頬じゃなくて唇にする〝いってきますの口づけ〟だ。仲睦まじい夫婦なら毎回すると書いてあった。本当に、するのだ。
プリムローズは感動を逃さないように、目を閉じて余韻に浸る。
そんな彼女の様子を、後ろに控えるイレーヌが微笑ましそうに見守っていた。
本でしか知らなかったことを二つも経験したプリムローズは、夕食を一人で摂って湯浴みも済ませるとデイジーに贈られた下着もどきを再び身に着けている。
本当は新しく用意したかったけれど急な話だったし、何よりも相変わらずどこで用意したら良いのか分かっていない。
いつ見ても可愛くて煽情的なデザインだから、アルバートだって気に入ってくれると思う。でもプリムローズに似合っていないかもしれないし、自信がなかった。
「リジィ、やっぱり怖かったら言って下さい」
プリムローズをベッドに横たえてアルバートが心配そうに声をかける。
乱暴に押し倒したあの夜のことを言っているのだろう。
でもあれは、プリムローズが悪いのだ。今は壊れ物のように優しく触れられていて、ドキドキするけれど全然いやじゃない。
「大丈夫、です。だから……アルバート様のお嫁さんにして下さい」
「必ず、大切にします」
「ただいま戻りました、リジィ」
夜、遅めの時間に戻って湯浴みを済ませたアルバートをベッドの上で出迎えると、唇にそっと彼のそれが押し当てられる。
あの後、お互いに気持ちはとても盛り上がっていた。
けれどアルバートは職務を抜け出して来ており、まだ今日の分は山ほど残っているという。それに明日から一週間の公休を取る為に頑張って来る、という話になった。
エリザベスに声をかけられた後にやって来たのは偶然で、プリムローズと話がしたくて確実に会えるであろう王妃のお茶会帰りに捕まえようとしただけらしい。
「今夜は寝かせてあげられないと思います。心配ならお昼寝をしておいて下さい」
見送る時、耳元で囁かれて真っ赤になった。
本で見たことがある言葉だ。
初めての夜、もしかしたら言われるかもしれないと一人で期待していた。結果は一年だけの白い結婚と言われてしまったわけだけれど、あの時のことを思うと夢みたいだ。そうするとアルバートもやっぱり獣になってしまうのだろうか。
「――そうですね。私も獣になると思います」
「アルバート様も……!」
やっぱり、本に書いてあったことは事実だったのだ。
こんなに穏やかで優しいアルバートでさえ獣になってしまうだなんて、閨事とはそんなにもすごいものなのか。
ドキドキしていると、さっと掃くように唇に柔らかなものが触れた。
「いってきます、リジィ。いい子で待っていて下さい」
「い、いってらっしゃいませ、アルバート様」
すごい。
今のも本で見た。
額や頬じゃなくて唇にする〝いってきますの口づけ〟だ。仲睦まじい夫婦なら毎回すると書いてあった。本当に、するのだ。
プリムローズは感動を逃さないように、目を閉じて余韻に浸る。
そんな彼女の様子を、後ろに控えるイレーヌが微笑ましそうに見守っていた。
本でしか知らなかったことを二つも経験したプリムローズは、夕食を一人で摂って湯浴みも済ませるとデイジーに贈られた下着もどきを再び身に着けている。
本当は新しく用意したかったけれど急な話だったし、何よりも相変わらずどこで用意したら良いのか分かっていない。
いつ見ても可愛くて煽情的なデザインだから、アルバートだって気に入ってくれると思う。でもプリムローズに似合っていないかもしれないし、自信がなかった。
「リジィ、やっぱり怖かったら言って下さい」
プリムローズをベッドに横たえてアルバートが心配そうに声をかける。
乱暴に押し倒したあの夜のことを言っているのだろう。
でもあれは、プリムローズが悪いのだ。今は壊れ物のように優しく触れられていて、ドキドキするけれど全然いやじゃない。
「大丈夫、です。だから……アルバート様のお嫁さんにして下さい」
「必ず、大切にします」