ねぇ、あのさ *女の子目線*



中三の秋頃だった。

運良く湊と同じクラスになれて、相変わらず楽しいままでいられた。

「ねぇ、あのさ」

だれもいない教室で二人。

ここにいるとつい、告白されたときのことを思い出してしまう。

「なに?」

それなのに、湊の発言は予想外のものだった。

「俺、渚と別れたい」

「...え?」

別れたい...?

なにそれ、今まで、ずっと幸せだったのに。

別れるようなきっかけなんて、ないはずなのに。

「なんで」

私は縋るように湊に聞いた。

''聞いた''というより、現実を受け入れられなくて''言った''に近いけど。

「...好きじゃ、なくなったから」

呼吸が浅くなっていく感覚がする。

湊の顔を上手く見れなかった。

自分がどんな顔をしているのかも分からない。分かりたくない。
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