ねぇ、あのさ *女の子目線*
*
中三の秋頃だった。
運良く湊と同じクラスになれて、相変わらず楽しいままでいられた。
「ねぇ、あのさ」
だれもいない教室で二人。
ここにいるとつい、告白されたときのことを思い出してしまう。
「なに?」
それなのに、湊の発言は予想外のものだった。
「俺、渚と別れたい」
「...え?」
別れたい...?
なにそれ、今まで、ずっと幸せだったのに。
別れるようなきっかけなんて、ないはずなのに。
「なんで」
私は縋るように湊に聞いた。
''聞いた''というより、現実を受け入れられなくて''言った''に近いけど。
「...好きじゃ、なくなったから」
呼吸が浅くなっていく感覚がする。
湊の顔を上手く見れなかった。
自分がどんな顔をしているのかも分からない。分かりたくない。