遠距離恋愛でも繋ぎ止めておきたい天然彼女が可愛いすぎる
今後
19時に練習が終わると詩織は監督に呼ばれ、部屋に入ると同期の松平照久(まつひらてるひさ)くんが立っていた。
監督の話では、今の日本での混合ダブルスのランキング1位のペアが怪我をした情報が入ってきたらしい。
そこで混合ダブルスが弱いうちのチームの強化の為に今のダブルスから混合ダブルスにエントリーをしないかという話だった。
「びっくりしたんだけど」
「俺も…」
部屋を一緒に出た松平くんとミーティングルームで話していた。
「私はまだわかるよ、ペアが決まってないから、でも松平くんは先輩がいるのに」
「まあな、先輩とは体力的にあと2、3年とは思っていた…先輩来年30歳なんだよな」
松平くんは腕を組んで天井を見た。
「確かにオリンピックや全日本A代表を目指すなら自分は江藤と組んだ方がいいのかもしれない」
「動きが全く違うよね」
「あぁ…」
詩織は時計を見た。
「ごめん、今日は用があったの、帰らなきゃ」
「あぁ、また話そ」
ごめんねと両手を合わせながらミーティングルームを出た。
残された松平は机に腕を伸ばして体をペチャっと引っつけて伸ばしていた。
「マジかよ……」
同期で入社してから、いやそれ以前から江藤の事は気になっていた。
よく話すほうではあると思うけど、ずっと一緒って…良い方向になるか、ケンカするようになるか、お互いの意見をちゃんと言えるか……
松平は1人で考えながらミーティングルームを出た。
一方詩織は社内でシャワーを浴びて慶太が店の地図を送ってくれていたのですぐに向かった。
個室のある居酒屋だった。