遠距離恋愛でも繋ぎ止めておきたい天然彼女が可愛いすぎる
大会

9月の初旬、詩織達の大会の日がやってきた。

初めての混合ダブルスは監督の言う通り日本ランキングトップのペアは出場していなかった。

松平と詩織のペアは初出場でノーシード、個人では次世代に注目されていた選手だった為、他のチームからは混合ダブルスの出場にびっくりされていたようだ。

5日間で行われ、詩織達はまだ残っている。

最終日、観客席に上がってきた詩織はなんとなくチームで陣取っている場所からふと視線を上げると、軽く手を振っている人を見つけた。

急いで1番上まで上がると席の横でしゃがんだ。

「お久しぶりです!びっくりしましたよ」

「お父さんと見に来てみたの、詩織ちゃんの試合、バドミントンは生で見るの初めて(笑)」

慶太くんのご両親だったのだ。

「慶太がね、東京に出てこないかって、ホテルとかも取ってくれたのよ」

「えっ、そうだったんですね、実は私の帰りが遅くて2週間ほど話せてなくて、夏休みが取れたらそちらに伺う予定だったんですよ」

「一昨日家に帰ってきたのよ、キャンセル待ちでやっとチケットが取れたらしくて」

知らなかった……


「試合が終わってから会うつもりだったのに見つかってしまったな(笑)」

お父さんも笑っていた。

「私達はここで見てるから頑張ってね」

「はい、でも慶太くんは?」

「駅まで翔太(しょうた)を迎えに行ってるわ」

「翔太くんも?(笑)頑張ります!」

詩織はチームメイトがいる席へ戻っていった。


席に戻ると松平くんにご両親?と聞かれたが両親ではないけど身内の人が応援に来てくれたと言っておいた。

それからは観客席に戻ることはなく、試合の準備のため、フロアにいる事が多く、準決勝で粘り勝ち、初の決勝戦へ…
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