暁に星の花を束ねて

赦されざる過去

(わたしの研究は、このためだったの?)

息が詰まる。

ステラ・フローラの細胞制御因子。
アンチナリア・シードの抑制波長。
すべてが、この一行に収束していた。

そのとき、胸の奥をかすめる痛みがあった。

(……ナノ毒……)

脳裏に、あの日の光景が蘇る。

診療所に併設されていた温室。

背中の傷を縫い、ステラ・フローラの抽出液を点滴したお兄さん。

温室で見た佐竹の背中の傷。
ナノ毒による後遺症。
そして。
生き延びたのは、彼ひとりだけという事実。

(……まさか……そんな……)

頭の中で、ひとつの名が閃いた。

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