暁に星の花を束ねて
同時刻・生命環境調和部門 第3ラボ
「星野さんの反応が……消えた?」
馬渡遼の声に周囲の研究員たちがざわめく。
表示盤のGPSマップが、ぽつりと灰色に変わっていた。
連絡不能。
呼びかけても、返答はない。
「葵ちゃん、どうしたんだろう……? 前にも脱走したことあったけど、今回はちょっとこわい」
結衣が不安げに声を上げる。
「ナノ毒関係のデータに触れた後だった。危険を感じた可能性があるわね」
八重樫課長が冷静に補足する。
馬渡は短く息を吐いた。
「全員、即時対応。星野さんを捜索します。理由は問いません」
白衣の裾が翻る。
彼の瞳は穏やかさを捨て、研ぎ澄まされた刃の色に変わっていた。
通信連絡
【戦略部より通達】
星野葵研究員、機密指定エリア外に単独行動。
対象位置:旧診療所跡地(第三区郊外)。
任務区分:緊急捜索。調和部門主導、戦略部支援。
馬渡は端末を握り、低く呟いた。
「……佐竹くん」
ガラス越しの温室に咲くステラ・フローラが、かすかに揺れる。
風もないのに、まるで何かを警告するように。
「星野さんの反応が……消えた?」
馬渡遼の声に周囲の研究員たちがざわめく。
表示盤のGPSマップが、ぽつりと灰色に変わっていた。
連絡不能。
呼びかけても、返答はない。
「葵ちゃん、どうしたんだろう……? 前にも脱走したことあったけど、今回はちょっとこわい」
結衣が不安げに声を上げる。
「ナノ毒関係のデータに触れた後だった。危険を感じた可能性があるわね」
八重樫課長が冷静に補足する。
馬渡は短く息を吐いた。
「全員、即時対応。星野さんを捜索します。理由は問いません」
白衣の裾が翻る。
彼の瞳は穏やかさを捨て、研ぎ澄まされた刃の色に変わっていた。
通信連絡
【戦略部より通達】
星野葵研究員、機密指定エリア外に単独行動。
対象位置:旧診療所跡地(第三区郊外)。
任務区分:緊急捜索。調和部門主導、戦略部支援。
馬渡は端末を握り、低く呟いた。
「……佐竹くん」
ガラス越しの温室に咲くステラ・フローラが、かすかに揺れる。
風もないのに、まるで何かを警告するように。