暁に星の花を束ねて
遠くで金属が割れるような低い振動が一瞬だけ伝わった。
しかしそれは壁の奥に吸い込まれ、次の瞬間には静寂が戻った。
葵にはその音が何なのか分からない。
ただ胸の奥で、不安の波だけが広がっていく。
扇と骸隠の激しい戦闘は、すぐ外で起きている。
だが玉華は、かすかな表情の揺れさえ見せず、
まるで何も起きていないかのように葵へ視線を向けた。
「葵さま。この装置の仕組みはご存知ですか?」
玉華の質問に葵は何か気づいたが、それには触れず頷いた。
「…星野この装置は、生物を安楽死させるもの。ロックが3重になっていて……。本来ならニつは簡単に外せるはず……」
思いだしながら葵は答えた。
玉華は頷き、だがその指先には一片の迷いもなく、熟練の忍ならではの確かな動きで、冷たい枷の構造を見極めていく。
金属がわずかに軋むたび、葵の胸が締めつけられた。
呼吸は浅い。
「……」
それでも玉華の落ち着いた手元を見ているうちに、
ほんの少しだけ意識の霧が晴れていくのを感じた。
「……玉華さん……」
その声にはまだ震えがあったが、
葵は勇気を振り絞るように続けた。
「玉華さんは……GQTにいたの?」
玉華の指が一瞬だけ止まる。
だが表情は変わらず、静かに葵の瞳を見返した。
「はい」
短い返事。
けれどその一語には、過去の重さと覚悟が滲んでいた。
しかしそれは壁の奥に吸い込まれ、次の瞬間には静寂が戻った。
葵にはその音が何なのか分からない。
ただ胸の奥で、不安の波だけが広がっていく。
扇と骸隠の激しい戦闘は、すぐ外で起きている。
だが玉華は、かすかな表情の揺れさえ見せず、
まるで何も起きていないかのように葵へ視線を向けた。
「葵さま。この装置の仕組みはご存知ですか?」
玉華の質問に葵は何か気づいたが、それには触れず頷いた。
「…星野この装置は、生物を安楽死させるもの。ロックが3重になっていて……。本来ならニつは簡単に外せるはず……」
思いだしながら葵は答えた。
玉華は頷き、だがその指先には一片の迷いもなく、熟練の忍ならではの確かな動きで、冷たい枷の構造を見極めていく。
金属がわずかに軋むたび、葵の胸が締めつけられた。
呼吸は浅い。
「……」
それでも玉華の落ち着いた手元を見ているうちに、
ほんの少しだけ意識の霧が晴れていくのを感じた。
「……玉華さん……」
その声にはまだ震えがあったが、
葵は勇気を振り絞るように続けた。
「玉華さんは……GQTにいたの?」
玉華の指が一瞬だけ止まる。
だが表情は変わらず、静かに葵の瞳を見返した。
「はい」
短い返事。
けれどその一語には、過去の重さと覚悟が滲んでいた。