暁に星の花を束ねて
「……3」

制御盤が火花を散らした。

「2」

葵の瞳が涙でにじむ。

「1」

交換が始まった。
装置が呻くように鳴り、光が収束する。




【同期交換:起動】




金属が軋み、空間の空気が押しつぶされるように震えた。

忍の呼吸が深く、低く整う。
妖刀『月哭』が鞘の中で微かに震えた。




【同期率 42% → 67% → 81%】




葵の拘束具が音を立てて緩む。
代わりに佐竹の腕の装置が強く脈を打ち始めた。

「佐竹さん……っ」

葵は必死に手を伸ばしたが、力は入らなかった。




【注入ライン:対象切替
注入針・加速展開】




金属アームが伸びた。

ナノ毒の透明な注入針が、まっすぐに佐竹の腕を狙う。




【同期100%──交換完了】




「今だ、玉華ッ!!」

空気が裂けた。

「破ッ──!!」

影切の一閃が、
音より速く装置へ叩き込まれた。

ガァンッッ!!!!

衝撃と火花。
装置のコアが断裂し、赤警告が白黒反転する。




【主装置停止
因子暴走停止
注入──中断】




注射針は、佐竹の皮膚に触れた。

ほんの──
紙一枚ぶん。

しかし動かなかった。

ナノ毒は針先で震えたまま、
一滴たりとも流れ出さない。

そしてナノ毒も拡散していない。

装置は死んだ。
毒も動かない。
佐竹は、間一髪で生きていた。

玉華が大きく息を吐いた。

「……停止、確認……成功です……!」

佐竹はわずかに肩を落とす。
その目には、ほんの一瞬だけ安堵の揺らぎが生まれていた。

「危なかったな……星野葵」

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