暁に星の花を束ねて
「星野葵を拘束した装置。あれでおまえだと確信したよ、少名彦凛翔。今でも弑逆趣味は健在らしいな」
空気が凍りつく。
凛翔の笑みが、わずかに歪んだ。
「……そんな昔の話まで知っているとはな。随分と調べたじゃないか」
「人が死んだ案件だ。忘れる理由がない」
「だが、おまえは生きている」
「おまえが殺し方を知らないだけだ。動かない相手にしか、刃を入れられない」
その一言とともに、佐竹の脳裏にかつての記録がよぎる。
セクションDナノテロ事件。
公式にはすべて毒死として処理された。
だが内部報告書の片隅には、消しきれなかった一文が残っていた。
一部の遺体に刃物による裂傷を確認。
そしてそれは、佐竹自身の背にいまも刻まれている傷と同じ形をしていた。
「美しいんだよ。壊れるその瞬間……失われていく過程こそが、価値になる」
凛翔の声は陶酔に濡れていた。