暁に星の花を束ねて
「……っ、佐竹さん……?」
掠れた声で呼んだ。
閉ざされたままだったまぶたが、ゆっくりと、重たそうに揺れる。
光を求めるように、わずかな隙間が開いた。
焦点の合わない黒い瞳が、ぼんやりと、こちらへ向いた。
「……あ……」
声にならない息が漏れる。
佐竹の喉がひくりと震え、乾いた空気を吸い込む。
葵の胸がきつく跳ねた。
「佐竹さん……! 聞こえますか……!?」
手を握りしめる。
その温度が、かすかに返ってくる。
佐竹の呼吸が、浅く揺れながら言葉を探した。
「……星野、葵……」
「……!!」
涙で視界がにじむ。
「佐竹さん……っ!! 五日も眠っていたんですよ!? もう、目を開けてくれないんじゃないかって、わたし…っ!!」
佐竹は未だ意識の底を彷徨いながら、微かに眉を寄せた。
「……五、日……」
喉の奥で、かすかな呼吸が掠れた。
その一言で、葵の喉が詰まる。
息が震え、涙が溢れそうになる。
「……また、おまえに助けられたな……」
葵の胸の奥が震える。
昏睡の闇から最初に持ち帰ったのが、その言葉だった。
そして──
わずかに開いた瞳の焦点が、ゆっくりと葵へ合った瞬間。
彼は、確かに戻ってきた。
「……ありがとう」
短く、しかし誤魔化しようのない声音で。
それは十年前のあの青年の面影と声が、ぴたりと重なる。
その途端、葵の胸の奥に堰き止めていたものが、熱を帯びてせり上がる。
彼女は、耐えきれず彼の胸にしがみついた。
「佐竹さん……!!」
葵は佐竹の胸に額を寄せたまま、震える肩を小さく上下させている。
佐竹はその背に手を添え、静かに彼女の呼吸を数えた。
言葉の余韻だけが残り、病室にはしばし柔らかな沈黙が落ちた。
緊張も、恐怖も、怒りも。
すべてが少しずつ溶けていく。
と──
「今回は……本当に危なかったな」
冗談のような本音のような。
ぽつりと佐竹が呟く。
そのひと言が、葵の堪えていた怒りに火をつけた。
掠れた声で呼んだ。
閉ざされたままだったまぶたが、ゆっくりと、重たそうに揺れる。
光を求めるように、わずかな隙間が開いた。
焦点の合わない黒い瞳が、ぼんやりと、こちらへ向いた。
「……あ……」
声にならない息が漏れる。
佐竹の喉がひくりと震え、乾いた空気を吸い込む。
葵の胸がきつく跳ねた。
「佐竹さん……! 聞こえますか……!?」
手を握りしめる。
その温度が、かすかに返ってくる。
佐竹の呼吸が、浅く揺れながら言葉を探した。
「……星野、葵……」
「……!!」
涙で視界がにじむ。
「佐竹さん……っ!! 五日も眠っていたんですよ!? もう、目を開けてくれないんじゃないかって、わたし…っ!!」
佐竹は未だ意識の底を彷徨いながら、微かに眉を寄せた。
「……五、日……」
喉の奥で、かすかな呼吸が掠れた。
その一言で、葵の喉が詰まる。
息が震え、涙が溢れそうになる。
「……また、おまえに助けられたな……」
葵の胸の奥が震える。
昏睡の闇から最初に持ち帰ったのが、その言葉だった。
そして──
わずかに開いた瞳の焦点が、ゆっくりと葵へ合った瞬間。
彼は、確かに戻ってきた。
「……ありがとう」
短く、しかし誤魔化しようのない声音で。
それは十年前のあの青年の面影と声が、ぴたりと重なる。
その途端、葵の胸の奥に堰き止めていたものが、熱を帯びてせり上がる。
彼女は、耐えきれず彼の胸にしがみついた。
「佐竹さん……!!」
葵は佐竹の胸に額を寄せたまま、震える肩を小さく上下させている。
佐竹はその背に手を添え、静かに彼女の呼吸を数えた。
言葉の余韻だけが残り、病室にはしばし柔らかな沈黙が落ちた。
緊張も、恐怖も、怒りも。
すべてが少しずつ溶けていく。
と──
「今回は……本当に危なかったな」
冗談のような本音のような。
ぽつりと佐竹が呟く。
そのひと言が、葵の堪えていた怒りに火をつけた。