暁に星の花を束ねて
紅蓮院宗牙が拘束されたのは、深夜だった。

国際監査院への引き渡しは即時。
公式発表は、その数時間後。

夜が明ける前に世界は一度揺れ、そして異様なほど静かになった。

各国市場は取引開始を待たずに反応した。

アジアは様子見。
欧州は緊張。
北米は沈黙。

誰もが理解していたからだ。

次に出る一言で、世界の向きが決まると。

その間、SHT本社では眠らない明かりが落ちることはなかった。

理事会は臨時招集。

法務、財務、国際調整部門が並行して動き、
国際監査院との文書は分単位で更新され続けた。

公式就任発表の時刻が決まったのは、
宗牙確保からおよそ二十時間後。

短すぎる、と云う者はいなかった。
長すぎる、と感じる者もいなかった。

それが
「遅らせてはならない瞬間」だと、誰もが直感していたからだ。

そして。

世界は、次の影を迎える準備を整えた。
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