暁に星の花を束ねて
議事録が閉じられ社外理事たちが退席していく。
重たいドアが最後の一人を送り出すと、部屋にはただ二人の姿が残った。
少名彦隼人と、佐竹蓮。
人工照明が静かに二人の顔を照らしていた。
「佐竹」
隼人が先に口を開いた。
声の調子はいつもと変わらぬ穏やかさを保っていたが、その裏にはどこか押し殺した緊張が混じっていた。
「はい。なんでしょうか」
佐竹は手元の端末から目を離さずに応じた。
視線を上げたとき、その黒い瞳にはまるで光が差さぬ深さがあった。
「わかったと思うが、息子の凛翔が商談を一件持ち込んでくる。社内提案というより……外部との共同プロジェクトだ。彼の実力を見てもらいたい」
「……評価を、ということですか」
「そうだ。私からではなく、おまえの目で見てほしい。あの子がどの程度の器か」
「それは部長としてでしょうか。それともあなたの代行として、ですか?」
冷ややかな声音にはかすかな棘が混じっている。
隼人の薄い唇がわずかに動いた。
重たいドアが最後の一人を送り出すと、部屋にはただ二人の姿が残った。
少名彦隼人と、佐竹蓮。
人工照明が静かに二人の顔を照らしていた。
「佐竹」
隼人が先に口を開いた。
声の調子はいつもと変わらぬ穏やかさを保っていたが、その裏にはどこか押し殺した緊張が混じっていた。
「はい。なんでしょうか」
佐竹は手元の端末から目を離さずに応じた。
視線を上げたとき、その黒い瞳にはまるで光が差さぬ深さがあった。
「わかったと思うが、息子の凛翔が商談を一件持ち込んでくる。社内提案というより……外部との共同プロジェクトだ。彼の実力を見てもらいたい」
「……評価を、ということですか」
「そうだ。私からではなく、おまえの目で見てほしい。あの子がどの程度の器か」
「それは部長としてでしょうか。それともあなたの代行として、ですか?」
冷ややかな声音にはかすかな棘が混じっている。
隼人の薄い唇がわずかに動いた。