暁に星の花を束ねて
ほんのいたずら心から出た一言。
だがそれは、即座に結衣の創造力をくすぐった。

「なにそれ! あはは! 聞いてみたーい、それこそ佐竹部長に!」

「でしょ? 訊いてみたいよね」

「うんうん。……想像してみて? たとえば、舞踏会に行くのにさ?」

結衣は急に表情をきりりと引き締め、低く響く声で演技を始めた。

「『ガラスの靴? 素材強度が低すぎる。あんなものを履いて戦場に出るな』」

「ぶっ……!」

葵は思わず吹き出した。
ラテの泡がぴくりと揺れる。

「そして魔法が解けそうになったら……」

「『時間管理ができていない。おまえにはリーダー資質がない』とか断言されちゃうんだ……!」

「い、云いそう……!」

ふたりはおなかを抱えて笑い合った。

周囲の喧騒すら霞むような、甘やかであたたかい空気がその場を包み込んでいく。

日常の静けさのなかで、ほんのひとときの女の子らしいおしゃべりが、心をやわらかくほどいてくれた。

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