暁に星の花を束ねて
「戦略的失敗例だけど、最後には勝ちと認めたんですね。……ふふん、もしかしてそれ、ガラスの靴じゃなくて、黒い手袋の王子様なんじゃない?」
「ゆ、結衣ちゃんっ……!」

あたふたと手を振る葵の様子に、片岡と結衣の笑い声がカフェにふんわりと広がった。
佐竹は無反応である。

「じゃあ次。シンデレラが意地悪されてるの見たら、復讐しますか?」

コホンと咳払いした葵が質問する。
紅茶に映る光を見つめながら、静かに。

佐竹はすっと眉を動かした。

「……復讐?」

低く冷ややかな声。
だがどこか考え込むような間があった。

「そんな無駄な手は打たないな」
「そう……ですか」

少しだけ寂しそうに微笑む葵。 佐竹は淡々と続けた。

「代わりにシンデレラを城に引きずり込む」
「……えっ?」

空気が揺れ、三人の視線が集中する。

「意地悪する連中は放っておけばいい。上に連れて行けば、勝手に沈む。自分がどこにいたのか、思い知るだろう」

その声音には怒りではなく冷徹な判断。
それでいてどこか守る者の気配があった。

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