転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「アークにもあげゆね!」
「……後にしようか。まだ、出発して十分もたっていないしね」
「むぅ」

 名残惜しそうに紙箱の中身を見つめてから、ぱたんと蓋を閉じる。それから、横に置いてある木箱の中にそれを戻して、今度はスケッチブックとクレヨンを取り出した。
 お絵描きタイムスタート。

「これ、ボユガしゃん!」
「……これはこれは」

 大変子供らしいお絵描きだ。右目と左目のバランスはとれていないし、なんなら左目は顔の輪郭からはみ出ている。
 同じく顔の輪郭からはみ出た唇に、意味もなく左右に乱れた髪。これを見てヴォルガと断定するのはまず無理な仕上がりだ。

「……大変そっくりな似顔絵ですね。光栄です、リリカ様」

 ヴォルガの特徴をまったくとらえていない落書きを見て、顔を引き攣(つ)らせることなくそう言い切るあたり、人生経験が違う。

「これ、パパ! これ、アーク、あたち、マーシャ!」

 足をぶらぶらさせながら、奔放にクレヨンを走らせる。そうしながら、そっとヴォルガの様子をうかがった。

(……やっぱり、こういうところでいきなりボロを出したりはしないよねー)

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