転生幼女と宰相パパは最強コンビ

　ポンッと現れたトワは、いつものようにゆるゆるとした姿で、リリカの前にうずくまった。リリカはその柔らかい背中に手を伸ばし、ぎゅっと抱きしめる。

「トワもがんばったもんねぇ……」

　ある意味、今回最大の立役者である。
　トワは前足をぱたぱたと打ち合わせ、尾を左右に振る。そして、すぐに消えた。あまり長い間実体化していられないのは、前と変わらない。

「リリカ、さっきは怖かった？」
「ちょっとだけ。でも、アークがいたから、だいじょーぶだった」

　アークスの問いに、リリカは首を横に振る。

「……そうか。子供達も、もう少ししたら家に戻れるよ」
「よかった！　これで、ハッピーエンド！　あたち、ハッピーエンドがしゅきよ！」
「ハッピーエンドか。そうだな、今回はそう言えるかもしれない」

　黙ってふたりを見守っていたイヴェリオが、静かに微笑んだ。
　リリカは腕を広げ、イヴェリオに向かって両手を伸ばす。

「パパ、だっこ」

　イヴェリオはためらうことなくリリカを抱き上げた。彼の腕の中は、リリカにとってこの世界で一番安心できる場所だ。