転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 大きくて、元気な赤ちゃんの声――ではなくて。

(なんで? なんで?)

 完全にパニックだ。
 何があったのかまったくわからない。

「ああああああっ!」

 声を出そうとすると、赤子の泣き声が聞こえ、口を閉じるとやむ。

(やだ、どうして……)

 何度か繰り返して、その結論にたどり着かざるを得なかった。
 赤ちゃんになってしまっている。
 おかしい。そんなのありえない。なぜ、どうして。
 頭の中で、感情がぐるぐると回る。
 その感情を解決する方法がわからなくて、びええ、びええ、と泣き続けていたら、ぱたりと扉が開かれた。

「――、……!」

 誰かが何か言っている。
 口に乱暴に突っ込まれたのは哺乳瓶。ひくっとしゃくりあげたタイミングで、乳首に吸いついてしまう。
 冷たいが、甘いミルクが流れ込んでくる。思わず両手で哺乳瓶を掴(つか)む。
 自分で哺乳瓶を支えながら夢中で吸いついた。どうやら、お腹が空いていたらしい。
 夢中になっている間に、おむつを交換されていたのにもまったく気づいていなかった。
 ミルクを飲み終えると、空になった哺乳瓶がころんとベッドに転がり落ちる。

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