転生幼女と宰相パパは最強コンビ
(……考えなくちゃいけないのに)

 ここはどこなのだろう。
 なぜ、ここにいるのか。
 どうして赤子になっているのだろう。
 家族は今頃、どうしているのか。
 気になることはたくさんある。
 それなのに、お腹が一杯になったら眠くなってしまった。身体も清潔にされて、気持ち悪いということもない。

(……後で……聞いてみよう……)

 誰に? とか、どうやって? とか、そんなのどうでもよくなってしまった。
 眠気の前には無駄な努力。
 茜は、考えることを放棄して睡(すい)魔(ま)に身をゆだねた。


 目を覚ます度に、明るくなっていたり暗くなっていたり。今の茜に、できることはそう多くない。
 起きて、ミルクを飲む。飲んでいる間に、おむつが替えられる。
 愛情のある世話のしかたではないが、口から出てくるのは泣き声ばかりで、抗議すらできない。当然、気持ちを通じ合わせることもできなかった。


 数日もすると、自分の置かれている環境がだいぶわかってきた。
 室内にいるのは、茜だけだ。基本的には放置されている。
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