転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 心細くて大きな声を上げて泣いてみたこともあったけれど、誰も来てくれなかった。最初に意識を取り戻したあの時はたまたま部屋に来るタイミングだったのだろう。
 どうやら、一定の間隔で、死なない程度にミルクを与え、病気にならない程度に清潔にしておけばいいと考えているようだ。
 茜をここに転がしているのが誰なのかは、まったくわからない。

(少なくとも、ここでこうしている間は、飢え死にすることはなさそうよね……)

 数日もすれば、そんな諦めの心情も芽生えてくる。おとなしく、与えられるミルクを飲み、身体を清潔にされる状況を受け入れるようになっていた。
 だが、その日は違った。
 朝、目が覚めても誰もこない。

「びぇぇぇぇ!」

 と泣いても、わめいても、放置され続けている。今まで、こんなにも放置されたことはなかった。
 お腹は空いてくるし、お尻は濡れて気持ち悪い。身体をくねらせても、おむつが外れるわけもなく、だんだん、いらいらとしてきた。
 朝になって、どのぐらい過ぎたのかわからない。

(……ん?)

 あちこちから、大きな物音が聞こえてくる。
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