日常の向こう側
「マジかよ・・・」
勢い良く引き抜くと手には一枚の五千円札。
水晶の表面は再び水面の様に揺れる。
「これで約二時間ちょい寿命が減ったのう。」
いつ付けたのだろうか、老人の口元には煙草がくわえられていた。








老人から水晶をもらってはや3日。その間に水晶を使う事は一回も無かった。
人生など暇潰しなど大口を叩いたわりに俺は度胸が無かった。実際に使おうとすると足がすくむのだ。
「ねぇ〜何、ぼーっとしてるの?」
隣にいた女の甘ったるい声が意識を現実に引き戻した。
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