ゆびさきから恋をする
番外編―その後のふたり―
最近定時で帰れた試しがない。
遅くなっても十九時までには終わるようにしているけれど、残業手当のおかげで(せいで)今月の給料が跳ね上がりそうだと出勤簿をつけながら思っていた。
「相当の対価だろ。十五分出勤簿入力プラスしたって足りないくらいだからもっとつけろ。それに罪悪感ないくらい仕事させてる」
久世さんが言う。
「でも、時間は時間だしちゃんとつけないと……」
「クソ真面目」
相変わらず口が悪い。話すほどその口の悪さが目立つと思う。
「普通だと思います」
言い返すとじっと見つめてくる。
「木ノ下さんが先月残業どれだけつけたと思う?」
え……と、思いつつ最近は私の方が遅く帰っているかも……なんて空を仰いで考えていると……。
「二十三時間」
「ええ!?」
私より多かった。
「な? 真面目にやってるのあほらしくなるだろ? 馬鹿正直につけなくていいよ、こんなもん。あの仕事量で一日仕事してますみたいな顔して残業にまで引き延ばすんだから舐めてるよな。むしろあの人の手の抜き方を勉強しろ」
(毒舌が過ぎる)
遅くなっても十九時までには終わるようにしているけれど、残業手当のおかげで(せいで)今月の給料が跳ね上がりそうだと出勤簿をつけながら思っていた。
「相当の対価だろ。十五分出勤簿入力プラスしたって足りないくらいだからもっとつけろ。それに罪悪感ないくらい仕事させてる」
久世さんが言う。
「でも、時間は時間だしちゃんとつけないと……」
「クソ真面目」
相変わらず口が悪い。話すほどその口の悪さが目立つと思う。
「普通だと思います」
言い返すとじっと見つめてくる。
「木ノ下さんが先月残業どれだけつけたと思う?」
え……と、思いつつ最近は私の方が遅く帰っているかも……なんて空を仰いで考えていると……。
「二十三時間」
「ええ!?」
私より多かった。
「な? 真面目にやってるのあほらしくなるだろ? 馬鹿正直につけなくていいよ、こんなもん。あの仕事量で一日仕事してますみたいな顔して残業にまで引き延ばすんだから舐めてるよな。むしろあの人の手の抜き方を勉強しろ」
(毒舌が過ぎる)