ゆびさきから恋をする
 自分の顔が赤くなっていくのが体温でわかるが、これ以上は発熱してしまうと思い、思い切って声に出した。

「私たちって今どういう状態なんですか!?」

 一気に聞いた。言ってから息を吐き出して胸がバクバクしているのに、まだ久世さんは聞いてくる。

「状態?」

 そこは聞き返さないでほしかったんだけど。なんなら察して欲しいんだけど。察してくれないかな!? 頭いいんだから!

「すみません。ちょっと自分ではもう判断つけられなくて……その……私って……」

(久世さんのなんですか?)

 って、一番大事なことを言いきれなかったぁ! 私のチキン!

「えーっと。ん? どう思ってたの?」

 逆に聞かれた。

「俺だけが勘違いしてるならただのセクハラになるんだけど」

「へ?」

「そうじゃん、職場で抱きしめてキスしてたらなんだろう。強制わいせつ罪?」

「それは……私が訴えないと罪にはなりません」

「なら良かった。じゃあ何を確認したいわけ?」

「勘違いってなんですか?」

 聞かれてばかりも癪で聞き返したら予想外だったのか少し驚いたような表情を見せた後すぐににやっと笑ってくる。

 この久世さんのちょっと面白がってるような含み笑いが実はとても好きだなんて言えないけれど。

「そういうところがさ、好きなんだよね」


(――今さらっと好きとか言った、この人)


 何を言われても言い返してやろうと思っていたのにあっさりとノックアウト。一瞬でKO、完敗、瞬殺。

 やられた。
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