黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
ああ……やってしまった。
帝国の安寧のためにここにいるのに、自ら不和を生むようなことをするなんて、聖女失格だ。
自分のことならどれだけ悪く言われても構わないけれど、教皇様を冒涜されて黙っていられなかった。
「オディリア様」
後ろからエルマが恐る恐るといった感じで声をかけてきた。私が侯爵親子の去った方を見たまま動かないので、傷ついているとでも思ったのだろう。
周囲の者に無用な心配をかけてはだめね。
気持ちを立て直し、笑顔を作って振り返った。
「カリーナ嬢ってとてもお美しい方ね。さすが皇太子殿下の元婚約者だわ」
エルマが軽く目を見張った後、言いづらそうに視線を伏せた。
「皇太子様があのようなことになり、ブルックリー侯爵はご令嬢を陛下の第二妃にとお考えなのかもしれません」
「えっ……そうなの?」
「ただのうわさ話です。そのうちお耳に届くと思ってお伝えしましたが、あまり気にされないほうがいいのではと」
「そうなのね……ありがとう」
さっきの侯爵令嬢の視線は、もしかして宣戦布告?
『あなたに皇后は務まらない』
そう言いたかったのかもしれない。
「あんなきれいな方に勝てる人なんていないわね」
もし本当に彼女が第二妃になるのなら、妻としての私は不要だろう。今夜白い結婚を解消することができたとしても、お飾り皇后になるのは時間の問題かもしれない。
だとしても、私はこの国の安寧のためにここにいる。神様に皇帝と大聖女が結ばれたと認識してもらえればそれでいい。
いい……はずなのに……。
なぜか胃の辺りがズンと重くなり、気づいたら眉根を寄せていた。
「オディリア様、お時間が」
エルマの声にはっとする。
「そうね、戻りましょう」
こんなところで立ち止まっている場合じゃなかったわ。
私は自分の中に生まれたモヤモヤした感情を振りきるように、急いでその場を後にした。
帝国の安寧のためにここにいるのに、自ら不和を生むようなことをするなんて、聖女失格だ。
自分のことならどれだけ悪く言われても構わないけれど、教皇様を冒涜されて黙っていられなかった。
「オディリア様」
後ろからエルマが恐る恐るといった感じで声をかけてきた。私が侯爵親子の去った方を見たまま動かないので、傷ついているとでも思ったのだろう。
周囲の者に無用な心配をかけてはだめね。
気持ちを立て直し、笑顔を作って振り返った。
「カリーナ嬢ってとてもお美しい方ね。さすが皇太子殿下の元婚約者だわ」
エルマが軽く目を見張った後、言いづらそうに視線を伏せた。
「皇太子様があのようなことになり、ブルックリー侯爵はご令嬢を陛下の第二妃にとお考えなのかもしれません」
「えっ……そうなの?」
「ただのうわさ話です。そのうちお耳に届くと思ってお伝えしましたが、あまり気にされないほうがいいのではと」
「そうなのね……ありがとう」
さっきの侯爵令嬢の視線は、もしかして宣戦布告?
『あなたに皇后は務まらない』
そう言いたかったのかもしれない。
「あんなきれいな方に勝てる人なんていないわね」
もし本当に彼女が第二妃になるのなら、妻としての私は不要だろう。今夜白い結婚を解消することができたとしても、お飾り皇后になるのは時間の問題かもしれない。
だとしても、私はこの国の安寧のためにここにいる。神様に皇帝と大聖女が結ばれたと認識してもらえればそれでいい。
いい……はずなのに……。
なぜか胃の辺りがズンと重くなり、気づいたら眉根を寄せていた。
「オディリア様、お時間が」
エルマの声にはっとする。
「そうね、戻りましょう」
こんなところで立ち止まっている場合じゃなかったわ。
私は自分の中に生まれたモヤモヤした感情を振りきるように、急いでその場を後にした。