黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
広い廊下をひた走る。――が全然進まない。ちいさな足では進む距離はたかが知れていて、息だけがどんどん上がっていく。
こんなときに限ってどういうわけか誰とも出会わない。とにかく早く医者を呼んでもらわないと、私が死んでしまう。
「誰か……誰かいませんか!」
ただでさえちいさな声しか出せないのに、それすらやたら広い廊下の壁や絨毯に吸い込まれて消えてしまう。
そもそも私は誰に助けを求めたらいいの? 私を殺そうとした人物がこの王宮のどこかにいるかもしれないのに。
私が生きていると知られたら、とどめを刺しに来るかもしれない。あの状態ならナイフで胸をひと突きするのもたやすい。想像しただけでぞっとする。
今からでも戻ったほうがいい?
無防備な状態の体が心配だ。けれどこんな体では犯人から守れるとは思えない。むしろ本体と一緒に始末されてしまうだろう。
怖い……。
恐ろしさに泣きだしそうになった瞬間、はっとひらめいた。
そうよ、陛下だわ! 陛下ならきっと守ってくださる。
胸に一縷の光が差しこんだ。
でも陛下の部屋ってどこにあるの?
広大な王宮の見取り図なんてどこにもない。陛下の部屋どころか、自分の部屋以外はダイニングルームなどの限られた場所しか知らないのだ。
廊下の突き当りでどちらに行っていいのかわからず立ち止まっていたら、遠くから話し声が聞こえてきた。とっさに胸像の台座裏に隠れる。ワゴンのガラガラという車輪の音と、女の子達の話し声がどんどん大きくなってくる。
「今日の陛下も超絶素敵だったわー」
その意見には激しく同意するわね。
テンションの高い声に、思わずうんうんとうなずいた。
「え! あなたあんな冷たい男がタイプなの⁉」
うわっ、なんて失礼な! 陛下は決して冷たい人間なんかじゃない。
その上『あんな』だなんて、皇帝に対して不敬すぎる。しかもここは王宮だ。いわば陛下の手の中。そんな場所でその言い草とは……。
メイドの教育を一から見直さなければならなそうだ。
こんなときに限ってどういうわけか誰とも出会わない。とにかく早く医者を呼んでもらわないと、私が死んでしまう。
「誰か……誰かいませんか!」
ただでさえちいさな声しか出せないのに、それすらやたら広い廊下の壁や絨毯に吸い込まれて消えてしまう。
そもそも私は誰に助けを求めたらいいの? 私を殺そうとした人物がこの王宮のどこかにいるかもしれないのに。
私が生きていると知られたら、とどめを刺しに来るかもしれない。あの状態ならナイフで胸をひと突きするのもたやすい。想像しただけでぞっとする。
今からでも戻ったほうがいい?
無防備な状態の体が心配だ。けれどこんな体では犯人から守れるとは思えない。むしろ本体と一緒に始末されてしまうだろう。
怖い……。
恐ろしさに泣きだしそうになった瞬間、はっとひらめいた。
そうよ、陛下だわ! 陛下ならきっと守ってくださる。
胸に一縷の光が差しこんだ。
でも陛下の部屋ってどこにあるの?
広大な王宮の見取り図なんてどこにもない。陛下の部屋どころか、自分の部屋以外はダイニングルームなどの限られた場所しか知らないのだ。
廊下の突き当りでどちらに行っていいのかわからず立ち止まっていたら、遠くから話し声が聞こえてきた。とっさに胸像の台座裏に隠れる。ワゴンのガラガラという車輪の音と、女の子達の話し声がどんどん大きくなってくる。
「今日の陛下も超絶素敵だったわー」
その意見には激しく同意するわね。
テンションの高い声に、思わずうんうんとうなずいた。
「え! あなたあんな冷たい男がタイプなの⁉」
うわっ、なんて失礼な! 陛下は決して冷たい人間なんかじゃない。
その上『あんな』だなんて、皇帝に対して不敬すぎる。しかもここは王宮だ。いわば陛下の手の中。そんな場所でその言い草とは……。
メイドの教育を一から見直さなければならなそうだ。