黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「そういえば陛下、今夜も執務室でお食事だなんて。やっぱりうわさは本当みたい」
「ああ、大聖女様とのことね。今朝は一緒に召しあがったそうだけど、やっぱりうまくいかなかったんじゃない?」

 そんなうわさが広まっているの⁉ 

 確かに三か月間も顔を合わせない生活を送っていたのだから、不仲だと思われても仕方ない。
 王宮中でそんなうわさが広まっているのなら、教皇様の耳にも届いているかもしれない。

 何をやっているんだって叱られてしまうかも……。

 なんのために王宮入りしたのか、大聖女としての自覚を問われてもおかしくない。引き取られて以降大事に育ててもらったものの、聖女としての行いにはとても厳しかった。

 でも今はそれを気にしている場合じゃないわ! 聖女としての存在意義なんて、生きていてこそだもの。

 メイド達の姿が見えなくなるのを待って立ち上がった。彼女達がやってきた方向に陛下の執務室がある気がする。
 幸いなことに、隠れている短い時間で休息が取れたようで、体が多少軽くなっている。

「行こう」

 気合を入れ、再び走りだした。

 陛下の部屋の入口ならきっと豪華に違いないのですぐに見つけられるはずだと思っていたのに、どれも同じような扉ばかりで見つけられない。肖像画がずらりと並べられた壁も同じに見える。

 ここ、さっきも通った……?

 回廊の真ん中に立ち顔を上げてぐるりと見回す。肖像画がいっせいに私を見おろしているようで、その場から逃げるように駆けだした。

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