黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「嫌です」

 私の即答に、陛下が目を見張る。

「私は、不幸になることよりも、不幸を恐れて何もできないことのほうが嫌です」

 きっぱりと言いきった。陛下が何か言おうと口を開きかけたが、私はそれより先に言葉を続ける。

「なにかつらいことがあったとき、自分は不幸だと諦めてしまえば楽になるかもしれません。けれどその先にある幸せを掴むこともできなくなってしまいます。私は決して諦めたりいたしません。だから不幸になどなりようがないのです」

 琥珀色の瞳を真っすぐに見つめ、にこりと微笑んで見せる。

「ですから陛下。私と一緒に幸せになってくださいませ」

 次の瞬間、突然噛みつくように口づけられた。

「っ……んんっ」

 想像していたのとはまったく違う、貪るような口づけに、あっという間に息が乱れる。
 肺が苦しくなった頃、口は自由になった。圧倒的に不足している酸素を取り込もうと肩で息をついていると、胸もとのリボンがシュルリと擦れる音がする。

「あっ」

 とっさに隠そうと持ってきた手を大きな手で捕まえられ、ベッドに押しつけられた。

「これがおまえの望みなのだろう?」

 艶っぽい低音に、全身がカッと熱くなった。
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