黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「おまえがあのときの聖女なのか……オディリア」
ベッドに横たわるオディリアの顔を見つめながら、そうならいいと心のどこかで願っていた自分に気づく。
婚姻式で白いベールをかぶった彼女を見た瞬間、あのときの聖女が現れたのかと息をのんだ。
けれどそんな自分にとって都合の夢想は一瞬で打ち消した。
そんな偶然があるわけない。敵国にほど近い辺境の地に、尊い大聖女が来るはずがないのだ。
その夜、彼女の部屋を訪れた。名目上は結婚初夜だが、実際は今後のことを告げるためだ。
公式行事以外は自由にしていい。これ以上夫婦の真似事は不要。そう伝えたにもかかわらず、オディリアは引き下がらなかった。
後ろから抱きついている彼女の手が、小刻みに震えていた。おびえているくせに、挑発するようなことを口にするなんて、よほど教皇からきつく言い含められているのだろう。
彼女の健気さに庇護欲が湧くと同時に、もっと怖がらせたくなるような、真逆の感情がわき起こる。
――このまま抱いてしまえばいいじゃないか。初夜に新妻を抱いて何が悪い。
――ばかなことを考えるな。俺の厄災に大聖女を巻き込んではいけない。このまま距離を置くほうが彼女のためだ。
まるで頭の両側から、相反するふたりの自分にささやかれているようだ。
ベッドに横たわるオディリアの顔を見つめながら、そうならいいと心のどこかで願っていた自分に気づく。
婚姻式で白いベールをかぶった彼女を見た瞬間、あのときの聖女が現れたのかと息をのんだ。
けれどそんな自分にとって都合の夢想は一瞬で打ち消した。
そんな偶然があるわけない。敵国にほど近い辺境の地に、尊い大聖女が来るはずがないのだ。
その夜、彼女の部屋を訪れた。名目上は結婚初夜だが、実際は今後のことを告げるためだ。
公式行事以外は自由にしていい。これ以上夫婦の真似事は不要。そう伝えたにもかかわらず、オディリアは引き下がらなかった。
後ろから抱きついている彼女の手が、小刻みに震えていた。おびえているくせに、挑発するようなことを口にするなんて、よほど教皇からきつく言い含められているのだろう。
彼女の健気さに庇護欲が湧くと同時に、もっと怖がらせたくなるような、真逆の感情がわき起こる。
――このまま抱いてしまえばいいじゃないか。初夜に新妻を抱いて何が悪い。
――ばかなことを考えるな。俺の厄災に大聖女を巻き込んではいけない。このまま距離を置くほうが彼女のためだ。
まるで頭の両側から、相反するふたりの自分にささやかれているようだ。