黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
 無意識に詰めていた息を、大きく吐き出す。
 少し脅すくらいならいいだろう。それならもう二度と近寄ってこないに違いない。
 そう決めた俺は、彼女を抱えてベッドまで運んだ。
 
 それなのに――。

『私と一緒に幸せになってくださいませ』

 〝聖女の微笑とはかくや〟といわんばかりの彼女の笑顔を見た瞬間、脳内でなにかが焼き切れた気がした。
  気づいたら、彼女の唇を夢中になって貪っていた。吸いつくような白い柔肌に我を忘れ、『これ以上はだめだ』という理性からの警報を頭の片隅に追いやった。
 その結果。

『いやっ!』

 大聖女からの拒絶にハッと我に返った。

 俺は今なにを……。

 涙を浮かべている彼女を見て、思いきり頭から冷や水を掛けられた気がした。
 目論見通りだったはずなのに、現実を思い知り自分でも驚くほどショックを受けている。

『そうだ、こんな俺に触れられたくないのは当たり前だ』

 相手がいくら無慈悲で冷酷だとうわさの皇帝だったとしても、聖女が神のお告げを断れるはずがない。どれほど恐ろしい思いをしながら嫁いできたのかなど、少し考えればわかるはずだ。

『これ以上俺に関わるな』と告げ、逃げるように皇后の寝室を後にした。

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