黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「まずいのか? どうなんだ」

 横からのぞき込まれ、間近にある金色の目にドキッとする。慌ててかぶりを振った。

「すっ、すごくおいしいでし」

 ん? なんだか言葉がおかしいわ。

 違和感に首をひねっていると陛下が再びフォークを差し出してくる。断りきれず口を開けると、再び舌の上でオムレツが蕩けた。

 それから陛下はまるで巣から落ちた雛鳥に餌をやるように、次から次に私の口に料理を運んできた。
 
「野菜も食べないとな」

 そう言って陛下がフォークに刺したものを見て、私はうっとたじろいだ。

 これって……。

 サラダの葉っぱの中に緑色のでこぼこした果肉がある。強烈な苦味を思い出し、口を開けるのを躊躇する。

「ん? ああ、ツルレイシか。おまえには苦すぎるな」
「待ってください!」

 陛下がフォークを下げようとしたのを急いで止めた。

「帝国民の尊い労働によって得られたお食事です。残すなんてありえませんっ」

 言い終わるや否や、パクリとフォークに食いついた。

 に、苦あぁぁいっ!

 前回と違って最初から苦いことを知っているはずなのに、肉体が幼児のせいなのか、前より苦く感じる。涙目になりながら砂糖のたっぷり入ったミルクティをあおった。

 そんな私を見て陛下がくすくすと笑う。

 そんなに笑わなくても!

 涙を溜めたままじっとりとした視線を送ると、陛下がコホンと咳ばらいをした。

「好き嫌いせずに食べられるなんてロゼはえらいな。何か褒美をやろう」
「ご褒美……」

 急に言われても思い浮かぶものがない。答えあぐねていると、陛下は「ゆっくり考えたらいい」と言って私の頭をポンポンと撫でた。

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