黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「もしかしたら皇后は何者かに害されたのかもしれない」
「……っ」
「毒を盛られたのか術を掛けられたのかはわからないが、とにかく彼女がこうなった原因がはっきりするまでは、周囲の者には気をつけないとならない」

 そんなことまで考えてくれているとは思わなかった。
 確かに私がこうなったのは、ハーブティを口にした直後だった。

「毒が見つかった、とか……」
「いや……何もなかった。テーブルの下には彼女が飲んでいたと思われるカップが落ちていたが、そこから毒物は出ていない。もちろんテーブルの上のものからもだ」
「何も……」

 おかしい。私はあのときお茶を飲んだ直後に意識を失ったはずだ。あのお茶になにかが入っていたのかもと思ったのだけれど……。

 実は何かの病気だったということ?
 元皇太子のように脳の血管が突然切れたり、心臓発作ということもある。

 今まで熱ひとつ出さずに生きてきたので、自分がそんなことになるなんて考えもしなかった。
 けれど、もしそうなら陛下が『何者かに害されたかもしれない』というのはおかしい。

「それなら他人に警戒する必要はないのではありませんか?」
「いや……それにしてはあまりにきれいだったのだ」
「え?」
「テーブルの上がやたら整然としていたんだ。まるで誰かが後から整えたように」

 どういうこと?

 首をひねる私に陛下がその理由を語ってくれた。

「犯人が毒のついたものを持ち去ったのではないかと」

 私付きの侍女やメイド一人一人に、そのときどこにいたのかなどを聞いてみたが、皆がそれぞれの持ち場にいたそうだ。

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