黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「あの、へーか。今どなたかとお話ししていらっしゃったような気がしたのですが」
「ああ。教皇と話をしていたのだ」
「教皇様と⁉」

 聞き違えではなかったのだ。
 陛下は宮廷魔導士に持ってこさせた魔道具で、教皇様に直接連絡を取ったそうだ。

「皇后が大聖女だということはおまえも知っているだろう?」
「はい」

 大聖女の存在を知らない人はこの帝国にはまずいないだろう。その大聖女が神託により皇帝の正妃になったことは、戦争が終わったばかりの帝国民に、歓喜の渦をもたらしたそうだ。新聞などで連日大きく取り上げられていた。

「その大聖女が倒れたとなれば、教皇庁から聖女を派遣して回復の助けを願い出たのだが……」
「だめだったのですね」
「いや、だめとまでは言われていない。ただ、すぐには無理だと」

 ああ、なるほど。

「聖女の数が足りないとでも言われましたか?」

 思い当たることを何も考えずに口に出したら、陛下が目を見張った。

「なぜおまえにそれがわかる」
「あっ……」

 しまった、余計なことをしゃべりすぎたわ。

 普通の幼児が教皇庁について詳しいなんておかしい。
 どうごまかそうかと思考を巡らせていると、陛下が先に口を開く。

「だれか身内に教皇庁の者でもいるのか?」
「そそそそうなんでしっ! 叔父さんの奥さんの妹さん……いえ従妹だったかも、が聖女宮で働いていたとかで……」

 しどろもどろになりながら答えたら、陛下は難しい顔をしながらもうなずいてくれる。

「教皇が言うには、通常の聖女の何十倍もの神聖力を持っている大聖女が抜けた上に、戦争で負傷した兵士達の治療で手いっぱいだそうだ」
「そう……ですか……」

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