黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
 このまま白い結婚を続けていった結果、神託を無視したと見なされて災いが起こるようなことになったら……。

 考えたら背筋がぞっとした。

 だめよ。そんなことは絶対にだめ。

 とにかく早くあの失態を謝って、皇帝との関係を改善しなければいけない。焦りは募るのになかなか話をできるチャンスがない、公式の場では内容が内容だけに口にするのがはばかられる。
 プライベートで唯一顔を合わせるチャンスは朝食だが、肝心の陛下はずっと欠席している。私の顔なんてもう見たくないのかもしれない。

「いったいどうしたら……」
「オディリア様? やはり先ほどのドレスのほうがよろしかったですか?」

 ドレッサーの鏡越しに、すっきりとした一重まぶたの女性と目が合った。皇后付き侍女長のエルマだ。ダークブラウンの髪は後ろでシニヨンにし、簡素なドレスを身につけている。

 私はいったん自分のドレスに目をやった。スカートの裾に(つる)バラのレースがあしらわれたクリームイエローのドレスだ。華美な装飾もなく動きやすそうなところが気に入っている。

「あっ、いえ。こちらで大丈夫です」

 いけない、無意識に口から出ちゃったわ。気をつけなきゃ。

 眠るとき以外常に誰かがそばにいる生活に、三カ月経ってようやく慣れてきたけれど、考え事をしているとつい忘れがちだ。

「オディリア様、また口調が」
「あっ……これで大丈夫、よ」

 急いで言い直したら、エルマがうなずいた。
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