黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
彼女は侍女ではあるが由緒ある伯爵家出身のご令嬢だ。王宮の侍女は貴族の令嬢から募るのが習わしだそうで、皇后の身支度の手伝いや話し相手、外出の付き添いなどが主な仕事だ。洗濯や掃除などの下働きをするのは、それぞれ専属のメイドがいる。
皇后付きともなると箔がつくため、良縁を求める令嬢やその親たちがこぞって希望する。だから皇后付きの侍女は全員、高貴な血筋の持ち主だった。
一方の私は、大聖女と判明した後教皇様の養女となったが、貴族ではない。そのせいか、侍女達の私への態度は、三カ月経った今もそっけなくよそよそしい。きっとどこの馬の骨ともわからない私の世話なんてしたくないのだろう。
そんな中エルマだけは普通に接してくれていた。彼女は宮廷仕えが長いそうで、そのキャリアから私に王宮のことを教える役目を負わされたのだろう。言葉遣いの指摘も、私のためを思ってのことだ。
「オディリア様、本日の髪型はいかがいたしましょうか」
ブラシを手にしたエルマに尋ねられ、鏡に映る自分に視線を合わせる。
鼻や口は小さくてあまり特徴のない顔立ちだけれど、ぱっちりとしたアーモンド形の二重まぶたと、翡翠色の瞳は自分では気に入っている。
けれどそれよりも印象的なのは、夕焼けに染められたかのような真っ赤な髪だ。この国ではかなり珍しい色のため、大抵の人はこの髪色で私を大聖女だと認識しているだろう。
背中を覆い隠すほどの毛量と長さがある上、癖毛で波打ってしまうため、公務のときはできるだけ上品かつ邪魔にならないようまとめるようにしている。けれど今日はそういった予定はない。
「下ろしておくのでもいいかしら?」
誰にも会わないのなら、できるだけ楽な格好でいたい。もともと貴族ではないので着飾るのは苦手なのだ。
「承知いたしました」とエルマがブラシを動かし始めた。
皇后付きともなると箔がつくため、良縁を求める令嬢やその親たちがこぞって希望する。だから皇后付きの侍女は全員、高貴な血筋の持ち主だった。
一方の私は、大聖女と判明した後教皇様の養女となったが、貴族ではない。そのせいか、侍女達の私への態度は、三カ月経った今もそっけなくよそよそしい。きっとどこの馬の骨ともわからない私の世話なんてしたくないのだろう。
そんな中エルマだけは普通に接してくれていた。彼女は宮廷仕えが長いそうで、そのキャリアから私に王宮のことを教える役目を負わされたのだろう。言葉遣いの指摘も、私のためを思ってのことだ。
「オディリア様、本日の髪型はいかがいたしましょうか」
ブラシを手にしたエルマに尋ねられ、鏡に映る自分に視線を合わせる。
鼻や口は小さくてあまり特徴のない顔立ちだけれど、ぱっちりとしたアーモンド形の二重まぶたと、翡翠色の瞳は自分では気に入っている。
けれどそれよりも印象的なのは、夕焼けに染められたかのような真っ赤な髪だ。この国ではかなり珍しい色のため、大抵の人はこの髪色で私を大聖女だと認識しているだろう。
背中を覆い隠すほどの毛量と長さがある上、癖毛で波打ってしまうため、公務のときはできるだけ上品かつ邪魔にならないようまとめるようにしている。けれど今日はそういった予定はない。
「下ろしておくのでもいいかしら?」
誰にも会わないのなら、できるだけ楽な格好でいたい。もともと貴族ではないので着飾るのは苦手なのだ。
「承知いたしました」とエルマがブラシを動かし始めた。