黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「ロゼ、どうかしたのか」
「い、いえ……その……どうしてへーかは皇后様をそこまで大事にされるのかなあと思って」

 この結婚は神託が下りてから結婚式まで一ヶ月しかなかった。私達が顔を合わせたのはそのときが初めて。しかもその後の初夜で私は大失敗をしてしまったのだ。そこまで大事にしてくれる理由がわからない。

 私が帝国のために必要な大聖女だから?

 もしこのまま私が死んでしまえば、女神の怒りに触れるとでも思っているのかもしれない。私もそれを心配しているのでよくわかる。

「俺が皇后を大事にするのはおかしいことか?」

 眉をひそめた陛下に、しまったと思う。ぶしつけすぎたかもしれない。
 陛下のため息に背中がひやりとした。

「まあそう思われても仕方ないか。散々皇后を放っておいたのだからな」

 そんなことはないと言ったところで、逆に嘘くさく聞こえてしまうだろう。黙ったままでいると陛下は皇后の髪をひと束そっとすくい取った。

「皇后は……オディリアは、俺にとって光だ」
「光?」
「ああ。俺に一緒に幸せになろうと言ってくれたのは彼女が初めてだった。それだけのことかと思うかもしれないが、俺にとっては闇夜で見上げる星のようだった」

 あの言葉で? 私はただ、せっかく縁あって結婚したのだから、少しでもお互いが幸せになれる方法を見つけたかっただけだ。

 それをそんなふうに大事に想ってくれていたなんて……。

「けれどそんな光が曇るのは見たくない。嫌われているなら距離を置いた方が彼女のためだと思った」
「ちがっ……」

 違うんです。嫌ってなんていない。

 そう言おうとした途端、胸が苦しくなった。制約が働いたのだ。

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