黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「それは無理です」

 取りつく島もないほどの即答に、私は驚いて目を見開いた。

「分離した今の体を維持するのにも神聖力が使われているはずです。今のあなたが自分に聖女の力を使ったとしても、神聖力が本体と循環するだけで癒すことはできません。それどころか、下手をしたら反対に力を奪うことになり、命を落としかねませんよ。今のあなたにできるのは、本体に負担をかけないことくらいです」
「そんな……」

 なんてことなのだろう。今の自分が存在するにも神聖力を使っているなんて。
 この状態が続けば続くほど死に近づいているという事実に、お腹の底から恐怖がせり上がってくる。

「何か打つ手はないのですか⁉」

 このままただ死を待つだけなんてできない。もし私に万一のことがあれば、陛下は再び自分を責めるだろう。もう二度と自分のことを『死神』だなんて言ってほしくない。

「お願いします、私にできることがあれば教えてください!」

 必死に訴えると、お義父様は目を見張ってから口を開いた。

「神聖力を高めるのです。そうすれば元に戻れるかもしれません」
「どうやって……」

 ここには潔斎ができる聖堂も、聖水の湧き出る泉もない。

「効力はさだかではありませんが」と前置きをしたお義父様は、私にその方法を教えてくれた。

「わかりました。ありがとうございます、お義父様」
「くれぐれも無理をしてはいけませんよ、オディリア」

 心配そうに眉を下げたお義父様に、私はしっかりとうなずいた。

< 76 / 114 >

この作品をシェア

pagetop