黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
さっそく月光露集めを始める。
小瓶は今の私の手に収まるほどの大きさではあるが、口がちいさいせいで花びらから露をこぼさずに入れるのは一苦労だ。
一メートルほどしかない身長もネックだ。上のほうにあるバラはよく開いているので露がたくさんありそうなのに、背伸びをしても見えにくく、露をうまく小瓶に入れられない。
欲張ってはだめね。
手の届く範囲でがんばるしかなさそうだ。
「それにしても、まだまだかかりそう……」
月は最初に見たときよりも高い位置にある。思ったよりも時間が経ってしまったようだが、月光露はまだ小瓶の半分くらいしか溜まっていない。できるだけ多いほうがいいだろうと、ドレスのポケットにもうひとつ小瓶を入れてきたものの、出番はかなり先になりそうだ。
「くしゅんっ」
大きなくしゃみが口から飛び出した。
「ううっ……結構冷えてきたわね。ちょっと薄着すぎたかしら」
薄い長袖の上から両腕をさする。これから朝方にかけてどんどん冷え込んでいくだろうに、昼間は暖かかったので油断してしまった。
風邪を引く前に部屋へ戻らなければ。今自分が体調を崩して本体の神聖力を削るようなことになれば、それこそ本末転倒だ。
でもせめて今手に持っている小瓶にだけでも月光露をいっぱいにしたい。
気を取り直したところで、自分の頭より少し高いところにある花びらがきらりと光るのが見えた。
大きな露だわ。
駆け寄って花びらに小瓶を近づける。なかなか手が届かず、一生懸命背伸びをする。
あと少し――グッとつま先を伸ばした瞬間。
「わっ」
バランスを崩しぐらりと後ろに傾いた。ドスンと地面に転んだ。
「痛ったぁ……」
幸い尻もちをついたのでどこもケガはしていないが、地面についた手のひらが痛い。
「あっ、月光露!」
急いできょろきょろと辺りを見回したら、小瓶が地面に転がっていた。
「全部こぼれてる……」
これまでの苦労が水の泡だ。追い打ちをかけるように手のひらがズキズキと痛み、まぶたに涙が盛り上がってくる。
小瓶は今の私の手に収まるほどの大きさではあるが、口がちいさいせいで花びらから露をこぼさずに入れるのは一苦労だ。
一メートルほどしかない身長もネックだ。上のほうにあるバラはよく開いているので露がたくさんありそうなのに、背伸びをしても見えにくく、露をうまく小瓶に入れられない。
欲張ってはだめね。
手の届く範囲でがんばるしかなさそうだ。
「それにしても、まだまだかかりそう……」
月は最初に見たときよりも高い位置にある。思ったよりも時間が経ってしまったようだが、月光露はまだ小瓶の半分くらいしか溜まっていない。できるだけ多いほうがいいだろうと、ドレスのポケットにもうひとつ小瓶を入れてきたものの、出番はかなり先になりそうだ。
「くしゅんっ」
大きなくしゃみが口から飛び出した。
「ううっ……結構冷えてきたわね。ちょっと薄着すぎたかしら」
薄い長袖の上から両腕をさする。これから朝方にかけてどんどん冷え込んでいくだろうに、昼間は暖かかったので油断してしまった。
風邪を引く前に部屋へ戻らなければ。今自分が体調を崩して本体の神聖力を削るようなことになれば、それこそ本末転倒だ。
でもせめて今手に持っている小瓶にだけでも月光露をいっぱいにしたい。
気を取り直したところで、自分の頭より少し高いところにある花びらがきらりと光るのが見えた。
大きな露だわ。
駆け寄って花びらに小瓶を近づける。なかなか手が届かず、一生懸命背伸びをする。
あと少し――グッとつま先を伸ばした瞬間。
「わっ」
バランスを崩しぐらりと後ろに傾いた。ドスンと地面に転んだ。
「痛ったぁ……」
幸い尻もちをついたのでどこもケガはしていないが、地面についた手のひらが痛い。
「あっ、月光露!」
急いできょろきょろと辺りを見回したら、小瓶が地面に転がっていた。
「全部こぼれてる……」
これまでの苦労が水の泡だ。追い打ちをかけるように手のひらがズキズキと痛み、まぶたに涙が盛り上がってくる。