黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「こんな夜中にどうしてひとりでいるの? ここは皇帝陛下のお庭ですよ」
優しい口調でやんわりとたしなめられ口ごもった。そっくりそのまま問い返したくなるけれど、そんなことができるはずがない。口をキュッと横に引き結ぶ。
「使用人か誰かの娘さんかしら」
つぶやいた令嬢が顔をのぞき込んでくる。
「あなた、お名前は?」
「……ロゼ、です」
「ロゼね。わたくしはカリーナ・ブルックリーよ。カリーナと呼んでちょうだい」
にこりと親しみやすい微笑みをくれたカリーナ嬢に、私は目をしばたたいた。初めて会ったときとはまったく雰囲気が異なっている。
別人? いいえ、彼女は今確かに『ブルックリー』と名乗ったわ。
「おうちはわかる? 送っていってあげるから一緒に帰りましょう」
ブルックリー嬢が私の手を取って歩きだそうとする。
「け、結構でしっ」
慌てて足に力を入れて踏ん張ると、彼女が振り返った。
「だめよ。いくら王宮内だとはいえ、こんな夜中にあなたのようなちいさな子がうろついていてはあぶないわ。狼でもいたらどうするの? あなたなんてガブリ!とひと口で食べられちゃうわよ」
「ガブリ……」
思わず身震いする。王宮に狼なんていないと言い返したいところだけど、実際ここで子狼と遭遇した実績がある。もしあの子狼が親を連れて戻ってきていたらと思うと、ゾクッと背筋が凍りそうになった。
「ほら、怖いでしょう? だから一緒に帰りましょう」
再び歩きだそうとしたブルックリー嬢の手をとっさに振り払った。
「私は帰りません! やることがあるんでし!」
ブルックリー嬢が釣り気味の二重まぶたを見開いた。
優しい口調でやんわりとたしなめられ口ごもった。そっくりそのまま問い返したくなるけれど、そんなことができるはずがない。口をキュッと横に引き結ぶ。
「使用人か誰かの娘さんかしら」
つぶやいた令嬢が顔をのぞき込んでくる。
「あなた、お名前は?」
「……ロゼ、です」
「ロゼね。わたくしはカリーナ・ブルックリーよ。カリーナと呼んでちょうだい」
にこりと親しみやすい微笑みをくれたカリーナ嬢に、私は目をしばたたいた。初めて会ったときとはまったく雰囲気が異なっている。
別人? いいえ、彼女は今確かに『ブルックリー』と名乗ったわ。
「おうちはわかる? 送っていってあげるから一緒に帰りましょう」
ブルックリー嬢が私の手を取って歩きだそうとする。
「け、結構でしっ」
慌てて足に力を入れて踏ん張ると、彼女が振り返った。
「だめよ。いくら王宮内だとはいえ、こんな夜中にあなたのようなちいさな子がうろついていてはあぶないわ。狼でもいたらどうするの? あなたなんてガブリ!とひと口で食べられちゃうわよ」
「ガブリ……」
思わず身震いする。王宮に狼なんていないと言い返したいところだけど、実際ここで子狼と遭遇した実績がある。もしあの子狼が親を連れて戻ってきていたらと思うと、ゾクッと背筋が凍りそうになった。
「ほら、怖いでしょう? だから一緒に帰りましょう」
再び歩きだそうとしたブルックリー嬢の手をとっさに振り払った。
「私は帰りません! やることがあるんでし!」
ブルックリー嬢が釣り気味の二重まぶたを見開いた。