エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
「それで?」
「適当に誤魔化そうと思ったんだけど、レイムさんの言うことも確かにそうだよなーって思ったり、して……」

 俯いているのでガイアの顔は見えないけれど、明らかにその場の空気がピリッとしたのはわかる。もしかして、ガイアは怒ってるんだろうか。でも、何に怒っているのだろう?

「私みたいな騎士の、令嬢らしくない、女性としての魅力も何もない女より、レイムさんみたいな女性らしくて色気もあって仕事もできる人の方が、ガイアの婚約者にピッタリだなって思うし、きっと他の人たちもそう思ってるんだろうなって思ったら、なんか、ガイアの顔が見れなくて……ごめんね、なんか変な態度とっちゃって」

 そう言って顔を上げてガイアの顔を見ると、ガイアはなぜか悲しそうな傷ついたような、でも怒っているような複雑な表情をして私を見ている。どうしてガイアがそんな辛そうな顔するの?ガイアのその表情を見た瞬間、私の中で警報が鳴った。だめだ、これ以上ここでガイアと話をしていてはだめだ。何がだめなのかはわからないけれど、これ以上はだめな気がする。

「あ、の、だから、私、ガイアの婚約者を辞退した方がいいかなと思ったの。契約結婚だとしても、やっぱりガイアみたいな素敵な人には私なんかよりもっとふさわしい人がいっぱいいるし、みんなその方が納得すると思う。だから」
「だめだ」

 私の話を遮るように、ガイアの声が低く響く。

「だめだ、絶対に。俺の婚約者は、契約結婚の相手はニーナじゃなきゃだめだ」
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