幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
「いいえ。
 ご存知のようにうちの母は、放任もいいとこな人なので。

 私、初めてお母さんって人とお料理したり、掃除の仕方がなってないって怒られたりしましたよ」

「このシンデレラ、掃除ひとつまともにできないから、結局、全部私がやっちゃったじゃないの」
と望都子は最後まで文句を言っていた。

「――いい思い出も、可愛い妹もできたし」

 そう言って、晴乃が杏奈の肩を抱くと、杏奈が見上げて微笑む。

「みなさんに追い出されかけたせいで、その……

 す、素敵な、旦那さまに……

 いつかなるかもしれないかもしれない、人に出会えましたしね」
と言いながら、晴乃は充悟を見た。

 ここは、望都子さんにすっきりさっぱりした気持ちで旅立ってもらうために、言ってるんですからっ、という視線で見つめてみたが、充悟が見たこともないような顔で微笑んでいたので。

 目で訴えることもできずに、晴乃は赤くなって俯く。
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