幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
「今はいっそ、お前に脅迫されたいと思っている。
 私と結婚してください、とお前に脅迫されたいと。

 他の誰でもない。
 お前だけに――」

 ……我々は今、鄙びてまったりな湯治場を満喫していたはずなのに。

 何故、いきなり、そんな情熱的な言うセリフを――。

 充悟さんとも思えない情熱的な……

 いや、充悟さんらしいのかな、と晴乃は気がついた。

 彼は仕事や他のことには、たぶん情熱的だ。

 今まで、恋愛にその情熱が向いていなかっただけで――。

「……俺は恋愛には興味ないから、そういうことに関してだけ淡白なんだと思ってた。

 でも、お前に出会って、そうではないと気がついたんだ。

 俺はもう俺の人生の王様じゃなくていい――。

 俺と……

 結婚してくれ、晴乃」

 俺の全力でお前を愛す、と言う充悟の強い視線から思わず目を背けながら、

「そ、……そのうち、全力でよそに行きそうで怖いんですけど」
と晴乃は言った。
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