最期の晩餐
「すみません。出せるものは全部出しちゃったので、干からびちゃいまして……」

 頭をポリポリ掻きながら「えへへ」と笑う。

 排便をすることは、生物として当たり前の行為なのに、何故か恥ずかしいものと思われがちで、特に女子なんかは、ウンコだと思われたくなくてあまりトイレに長居をしなかったりする中、ウンコをしてきたことがバレバレの私は、もう変な薄ら笑いでもするしかない。

「胃薬飲む? 下痢止めの方がいい?」

 美知さんが「栄養管理室の薬箱に多分どっちもあるから、取ってくるよ」と言ってくれたが、

「イヤ……。水飲んだら、絶対また下る」

 私のお腹は薬さえも受け付けない、最悪なコンディションになっていた。

「……なぁ、食中毒じゃないか……? 一大事だぞ」

 お腹を壊して顔面蒼白な私とは違った意味で、林田さんの顔が青ざめていた。

「だから、違いますって。私も食べましたけど、何ともないですし。林田さん、奈々未がトイレに行った後からずっとこの調子なのよ」

 美知さんが「林田さんは思い込んだら周りの声が聞こえなくなるからねー」と眉を八の字にして困り顔を作ると、

「私も食べたけど、全然平気。林田さん、『ファミリーキッチンのアイス、全部下げるぞ‼』って大騒ぎよ。午前中、患者さんと職員の何人かは既に食べちゃってるし、誰も何の異常もないから大丈夫って言ってるのに、聞かないのよねー」

 森山さんが美知さんに「ねー」と言いながら深めの相槌をした。
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