最期の晩餐
「【管理栄養士の頂点】とか言わないあたり、何気に謙虚よね」

「奈々未が管理栄養士のトップに君臨してたら、世も末ですよ」

 私の傍で、森山さんと美知さんが笑った。

「あー‼ 馬鹿にしてるー‼」

 今度は森山さんと美知さんに怒りの鼻息を吹きかけようとした瞬間、何故か膝の力が抜け、床にへたりこんでしまった。立とうとしても、足に力が入らず、なかなか立ち上がれない。

「ちょっとちょっと‼ これはただの食べすぎじゃないわよ。様子がおかしいもの」

 私の右腕を自分の肩に回して、私の身体を支えてくれた森山さんが、

「……ん?」

 眉を顰めて美知さんの顔を見た。

「奈々未ちゃん、熱あるわよ。奈々未ちゃんの身体、熱いもん」

「え? ちょっとおでこ触るよ」

 森山さんと顔を見合わせた美知さんが、私の額に手を当てた。

「あー、あるね。体温計で測らなくても分かるわ。かなり高い。奈々未、帰りな」

 美知さんが私の左腕を持ち上げ、森山さんと一緒に私の身体を起こした。

「大丈夫ですって‼」

 長時間トイレに籠った挙句に帰るのは気が引ける。「私はやれる‼」と、帰宅を拒否すると、

「さっさと帰れよ。風邪引いてるんだろ? シャキっと立てない奴なんか足手まといなだけだろうが。しかも、ここは少人数の職場だぞ。お前に風邪菌ばら撒かれて、全員に移されたら迷惑極まりないんだよ」

 林田さんに冷たく退場を命じられた。
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